各種予防のご案内

犬の主な予防

写真 @混合ワクチン
ジステンパーやパルボウイルスなどの予防を行うためのワクチン注射です。
当院では5種、9種、10種の混合ワクチンをご用意しております。
全てのワンちゃんに推奨される基本ワクチンは5種混合で、7種以上のワクチンになるとレプトスピラ病の血清型が2〜4種含まれてくるという違いです。

レプトスピラ病は菌に汚染された水や土壌から、粘膜や皮膚を通して、もしくは経口感染する人獣共通感染症で、届出伝染病にも指定されています。
汚染源は主にネズミの尿といわれていますが、感染から回復した犬も保菌者になり、数年〜生涯にわたり排菌し続けることもあるようです。
ワクチン未接種犬の抗体調査ではかなり高い陽性率を示し、不顕性感染の犬が多いことがうかがわれ、その尿から飼主さんへ感染するリスクもあります。
右上の図は2004年から2013年にかけてのレプトスピラ病の発生状況(不顕性感染は含みません)ですが、茨城県や千葉県は発生が非常に多い地域であることがわかります。
リスクが高い条件は
 ・河原や田畑付近のお散歩、キャンプへ連れていく
 ・市街地でもネズミがいる
 ・ドッグラン等での犬同士の交流
等ですが、室内飼育犬と屋外飼育犬で陽性率に差がないとも言われており、通常のお散歩でも十分リスクはあるようです。
そのため、日常的にお散歩に出るワンちゃんはワクチン接種をご検討頂いた方がよいかもしれません。

A狂犬病ワクチン
法律で3ヶ月齢以上の犬への接種および登録が定められたワクチンです。
自治体が行う集合注射は4月〜6月に行われることが多いですが、病院ではいつでも接種することができます。
現在の日本は狂犬病の発生がない清浄地域ですが、世界中では毎年多数の人や動物が狂犬病により命を落としています。
ながらく清浄地域とされていた台湾でも近年、狂犬病感染が野生動物を中心に多数発見されました。
これは狂犬病を発症した人や犬の確認がきっかけではなく、野生動物の感染症調査に狂犬病を追加したことが発見につながったようです。
混合ワクチンと異なり「現在発生があるから接種するワクチン」ではなく、「侵入・拡散に対して備えるためのワクチン」なので、発生が無くても接種が義務付けられているのです。

Bフィラリア予防
当院では5月下旬頃からスタートし、11月下旬(投薬開始時期によっては12月上旬)までの予防をおすすめしております。
また、安全に予防を行うためには毎年開始前に血液検査を行うことが推奨されています。
(フィラリア陽性の場合、投薬により体調が悪化したり、ショックを起こす危険性があります)
お薬の種類は様々あります。
・毎月1回の飲み薬(このなかには錠剤、粉剤、おやつ状のチュアブル、ノミ・マダニ予防も併せてできるチュアブルがあります)
・毎月1回の皮膚滴下剤
・効果が1年間持続する注射剤
それぞれ価格も異なったり、メリット・デメリットがありますので、詳しくはご相談下さい。

Cノミ・マダニ予防
お散歩で草むらに入った際に寄生されることが多いようです。公園などごく身近な環境中にも生息していることがあります。
同居家族の中に外に遊びに行く猫がいると、そこからノミをうつされるパターンもよく見かけます。
ノミもマダニも人が刺されることもあります。
人や動物に対して様々な感染症の媒介源になることもあり注意が必要です。
西日本を中心に報告のあがっている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)も、近年では犬猫も感染・発症し、その排泄物等から人へ感染することもわかってきています。
診察の際に寄生を見かけることが多いのは2月〜12月頃ですが、種類によっては真冬でも活動するものがあるため、草むら大好きなわんちゃんは通年予防がベストです。
近年では温暖化の影響もあり、冬でも暖かい日が多くなっているため、当院では通年予防をお勧めしています。

犬のフィラリア・ノミ・マダニ等の予防薬の種類

写真 上記の表は当院で取扱いしている犬のフィラリア、ノミ、マダニ等の予防薬一覧です。
当院でお薦めしているフィラリア予防薬は、オールインワンタイプのチュアブル剤です。
今までお使いになられていた予防薬との価格の比較も遠慮なくご相談下さい。
※DEのミルベマイシンはフィラリア予防用量の倍量で鞭虫への効果を発揮します。

ノミ・マダニ予防も内服タイプがお薦めです。
滴下式と比較して、シャンプーの影響を受けない、体を振っても飛び散らない、効果の発現が早い、フィプロニル耐性のノミにも有効、食べてくれれば投薬が容易、等のメリットがあります。

猫の主な予防

@混合ワクチン
完全室内飼育を含め全ての猫に推奨されている基本ワクチンは3種混合です。
予防できる病気は猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症です。
同居猫が猫白血病ウイルスに感染している場合や、外に遊びに行く猫に対しては5種混合をお勧めいたします。
5種混合で追加予防できる病気は猫白血病ウイルス感染症と猫クラミジア症です。
猫免疫不全ウイルスのワクチンは製造が終了してしまったため現在は接種することができません。

Aフィラリア予防
犬のフィラリアは猫にも感染することがあります。
激しい炎症反応により嘔吐や喘息様症状、急性肺障害、突然死などが現れることがあります。
やや古い情報になりますが、1997年に発表された埼玉県下の収容猫の調査では全体の0.8%、2歳以上に限っては4.1%に成虫寄生が見つかっています。
猫の体内でフィラリアが成虫にまで成長できるのはごく一部で、仮に死滅したとしても犬糸状虫随伴呼吸器疾患(HARD)といわれる重篤な症状を起こす可能性があります。
そのため、寄生が確認できなくても症状だけ出すことがあり、完全室内飼育の猫も含めおよそ10%にそのリスクがあるといわれています。
蚊は犬猫を区別して吸血するわけではありません。
疑わしい症状があっても診断が非常に困難で、寄生が見つかっても有効な治療法がないため、予防することが現実的、かつ重要です。
予防期間は犬と同じ5月下旬〜11月下旬です。
ひとつのお薬でフィラリア、ノミ、回虫などの対策ができる便利なお薬もあります。

Bノミ・マダニ予防
猫はマダニ寄生もありますが、ノミの被害がより多くみられます。
主に草むらなどに生息し真冬の時期は冬眠に入るマダニと異なり、ノミは室内のような温かい環境では1年中活発に繁殖します。
そのため、屋外に出る猫は通年の予防が推奨されます。
もちろん人も刺されたり、様々な伝染病の媒介源にもなります。
また、瓜実条虫という寄生虫の感染源にもなり、おしりから米粒サイズの白い虫が出てくることがあります。
その際は条虫の駆除のほかにノミの駆除も行わなければなりません。

猫のフィラリア・ノミ・マダニ等の予防薬の種類

写真 上の表は当院で猫に使用している主な寄生虫予防薬の一覧です。

この表は製薬会社の効能書をもとに作成してあります。
オレンジ色の部分は効能外使用です。

生活スタイルによってお奨めの薬は変わってきますので、詳しくはスタッフにお尋ね下さい。
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